中西レモン
夜明け烏の渡るまで

¥3,300 (税込)

発売日: 2026年6月12日

商品コード: DYS-008 カテゴリー:

説明

江州音頭の唄い手、中西レモンのセカンドアルバム『夜明け烏の渡るまで / Till the Ravens Rise at Dawn』が 5 か月連続配信シングルリリースを経て 2026 年 6 月 12 日に DOYASA! Records よりリリースされる。前作『ひなのいえづと』が東北民謡を中心とした選曲だったのに対し、今作はよりバラエティに富んだ選曲、そしてアレンジとなっている。前作に引き続き、帯文では町田康が賛辞を寄せる。

百年に一度の偉業。
今、私たちの魂が世界に解き放たれました。
魂、百まで踊り忘れず。止まりません。
町田康

【曲目】
1. タント節(秋田県・青森県)Tanto Bushi
2. 新川古代神(富山県)Niikawa Kodaijin
3. やっとこせ(新潟県)Yattokose
4. かわさき(岐阜県)Kawasaki
5. 野球拳(愛媛県)Yakyuken
6. 稲上げ唄(宮城県)Ineage Uta
7. 黒石よされ(青森県)Kuroishi Yosare
8. 沢内甚句(岩手県)Sawauchi Jinku
9. 山田はんや(新潟県)Yamada Han’ya
10. 豊島の盆踊り唄(香川県)Teshima no Bon-Odori-Uta
11. 北海盆唄(北海道)Hokkai Bon-Uta

【参加ミュージシャン】
中西レモン:vocal & backing vocal
服部正嗣:drums (1,3,5,7,8,9)
ダニエル・バエデール:drums (2,4,11)
久下惠生:drums (10)
安井源之新:percussions (2,11)
立岩潤三:percussions (7)
服部将典 :contrabass (1-5,7,8,10,11) & backing vocal (10,11)
エマーソン北村:keyboards (1,5,8,9)
甲田伸太郎 (Bloodest Saxophone) :tenor saxophone (1)
伊藤聖 (Bloodest Saxophone) :baritone saxophone (1)
石川広行:trumpet (3,5,11)
堀京太郎:trumpet (5)
和田充弘:trombone (3,5,11)
上運天淳市:alto & baritone saxophone (3,5,11)
竹内瑞紀:violin & viola (7)
五十嵐あさか:cello (4,7)
影山朋子:vibraphone (10)
佐藤みゆき (すずめのティアーズ):backing vocal (2-4,6-9,11)
あがさ (すずめのティアーズ):guitars, keyboard (7) & backing vocal

arranged & produced by あがさ
recorded, mixed & mastered by 中村公輔
recorded from 2nd September to 30th December 2025
liner notes:大石始
artwork:中西レモン
design: Ai Kato (MaiMunka Graphiti)

■中西レモンのファースト・アルバム『ひなのいえづと』(2022)は、そのプロデューサー/アレンジャーであるあがさと佐藤みゆきとのデュオであるすずめのティアーズ『Sparrow’s Arrows Fly so High』(2024)と並んで、ポスト・パンデミック期の日本において、ローカル/ヴァナキュラーな感性に基づくポップ音楽作品の新たなパラダイムとなる重要な作品だった。中西レモンの歌う民謡や瞽女唄や座敷唄は、近代化の中で、専門歌手が歌う田舎風レパートリーとして均質化された「民謡」とも、文化財として特定の保存会によって冷凍保存された「民俗芸能」とも異なり、実際に市井の庶民によって実践されてきた歌と芸能の諸相に深く分け入って、様式的な美しさだけでなく猥雑さやしたたかな打算や残酷さや滑稽味をたっぷり含み込んでいる。ケレン味たっぷりのレモンの「ええ声 」は世界各地の多様な音楽スタイルを取り入れたあがさの編曲によってさらに際立つ。その類稀な表現は多くの好事家を驚かせている。

2020年代の音楽界に新風を巻き起こしている中西レモンは、単に着物姿にハート型の色眼鏡をかけたキュートな民謡ポップスターとして突然現れたわけではない。十代の頃から市井の芸能に魅了されてきた彼は、大学時代以降、各地の盆踊りを始めとする芸能の現場に参与し、それに触発された絵画やコンテンポラリー・ダンス作品を発表してきた。また、日本および東アジアの周縁的な音楽・芸能を積極的に扱うオフノート・レーベルのスタッフや、現代の日本人には判読困難なくずし字で書かれた江戸時代後期以降の庶民的な芸能資料を読む会の案内人を務めてもいた。

このようにハイ・アートと 1960 年代以降の日本的な「アングラ」文化と民俗学的研究の狭間で 20 年近く活動していた彼は、初代桜川唯丸の江州音頭の通信講座「モノガタリ宇宙の会」の世話人を務めたことから歌手としてのキャリアが開花する。初代桜川唯丸は、1990年代に関西の盆踊りシーンから登場し、レゲエやアフロビートを取り入れたバンド、スピリチュアル・ユニティと共演した名作アルバム『ウランバン』を発表した「日本のワールドミュージック」の代表格である。初代唯丸が早すぎる現役引退の後に始めた通信講座から生まれた社中は、2010 年代以降、東京を中心に盛り上がりを見せていたオルタナティヴな盆踊りシーンで注目され、音楽的な盟友となるすずめのティアーズもそこから生まれた。

コロナ禍によってライブ活動が停滞を余儀なくされたことで、あがさの自宅スタジオでのアルバム制作が始まった。そして『ひなのいえづと』が発表された。続く 12 インチシングル『ODORI ONDO』(2023)では、⾧編の江州音頭を片面ずつヒップホップとタイ北東部のモーラムに乗せて演じ、近年のオルタナティヴ盆踊りシーンの動態を鮮烈に伝えている。中西レモンは近代以前から日本列島各地に伝承されてきた庶民の祭礼と娯楽の熱心かつ総合的なリバイバリストであり、まさにそのことによってすぐれて現代的でオルタナティヴな表現者たりえている。その無尽蔵の宇宙は、今や地球上津々浦々の人に拓かれ始めている。(音楽学者/近代音曲史 輪島裕介)

【アーティストプロフィール】
中西レモン(Remon Nakanishi)
初代桜川唯丸江州音頭通信講座・モノガタリ宇宙の会世話人(2015 年~)。
郷土芸能に取材した絵画展『掛唄』(2002 年)。ダンス・パフォーマンスに関する上演企画『畳半畳』(主催 2004~2014 年)。庶民の歌などを読む勉強会「庶民の芸能を読む会」(2017 年~)。編集に『インタビュー・資料集 豊島の盆踊り音頭』( 2014 年てしまのまど)、『庶民の芸能を読む会 第一冊 翻刻 ちよぼくれちよんがれ』( 2025 年 DOYASA! Records)。音源に東北民謡と越後の瞽女唄を歌ったアルバム『ひなのいえづと』(2022 年 DOYASA! Records)、Donuts Disco Deluxe と Monaural miniplug とのコラボレーション江州音頭『ODORI ONDO』(12㌅45rpm、2023年 OUT ONE DISC)など。

 

レーベル

DOYASA! RECORDS